トウガラシの栽培【東京ベランダ菜園記録】
この記事では、東京のベランダで育てたトウガラシの栽培記録をご紹介します。日当たりの悪いベランダでも、トウガラシはすくすく育つことが分かりました。内藤唐辛子が有名な通り、現在の新宿あたりでも唐辛子の栽培は盛んでしたから、風土に合っているのかもしれません。病害虫の心配もなく、手間がかからないので菜園初心者の方にも向いている植物だと思います。
はじめに
去年、都内のベランダで色々野菜を育ててみた結果、日当たりの悪い環境でもよく育つ野菜とそうでないものが分かってきた。その中から、育ちの良い野菜のみを今年は育てることにした。
去年の種がいっぱい余っていたので、それらを撒き、新たな野菜は育てないつもりだった。。。が!、たまたまホームセンターで「トウガラシ」の苗が78円で売られていた。買ってしまった。 唐辛子は大好きで、よく使う食材。絶やさず常備しているが、育てたことはなかった。どうなるかは分からないが、興味本位で育ててみることにした。
トウガラシの栽培記録
0日目 (6/25) トウガラシの苗を購入・定植
ホームセンターでトウガラシの苗を購入。葉の状態が一番キレイなものを選んだ。菜園をやり始めると、葉の状態などをよく観察するようになるので、元気な状態かどうかの判断が着くようになった。
去年の土とフェルトプランターを再利用して、色々野菜を育てている。パクチー、小ネギ、モロヘイヤを育てている脇にトウガラシを定植してみた。
パクチーはここの環境下だとよく育つ。消費が追いつかないくらい育ててしまった。小ネギはスーパーのもので、根を植えて再生栽培させている。今年は小ネギを買わずに済む1年になりそう。モロヘイヤはこの時期ようやく芽を出して成長してきた。心配になるくらい、初期成長はとにかく遅いモロヘイヤだ。こんなに密植させて大丈夫?と思われるかもしれないが、こちらの書籍によれば、ように寄せ植え栽培することでお互い競争するので成長が早くなるそうな。また、コンパニオンプランツの考え方もあって、種類の違う植物がお互いに良い影響を与えることもあるようだ。
14日目 (7/9) トウガラシの花が咲く
連日の雨続きの中、トウガラシの花が咲いた。 とても小さな可愛らしい花だ。こんな花が咲くのかと感心しながらも、後にあのような辛いトウガラシになるのだがら、見た目からは想像できないものだ。
23日目 (7/18) 猛暑、次々と花が咲く
連日の雨が晴れ、いよいよ夏らしい暑さになってきた。 こちらは猛暑でバテバテだが、トウガラシにとっては待ってましたと言わんばかりの暑さの様子。元気に花が咲き乱れている。さすがは暑い国出身の植物だ。
26日目 (7/21) トウガラシの実がなる
トウガラシの実がちらほら成ってきた。「そうか、これは青唐辛子なのか」と思って調べてみると、やはり未熟な唐辛子を青唐辛子と呼んでいるようだ。これを実らせたまま完熟させると赤色に変わっていく。よく使う鷹の爪なんかは、完熟させたトウガラシをさらに干して乾燥させたものである。また、青唐辛子には沢山の品種があり、伏見甘とうがらしや万願寺とうがらし、獅子唐などもすべて青唐辛子の一種だそうだ。 もう少し大きくなったら青唐辛子を料理に使ってみよう。
30日目 (7/25) 青唐辛子の初収穫
トウガラシの苗を定植してからこの日でちょうど一ヶ月。青唐辛子を初収穫して「冷やし中華」をはじめてみた。青唐辛子の辛味と青々しい香りが、うだるような暑さを忘れさせてくれる。
▼ 青唐辛子は、酢漬け(ピクルス)にしたり、柚子胡椒すると色々な料理に使えて便利。長期保存も可能で、1年ほど保存できている。
62日目 (8/26) トウガラシが赤くなる
トウガラシの実がなってから約40日、ようやく赤くなった。ミニトマト菜園の時はトマトの実が緑→黄→赤となったが、このトウガラシは緑→黒→赤の順番で色が変化した。トウガラシが黒くなった時は焦ったが、その後ちゃんと赤くなって良かった。 ところで、そばではモロヘイヤやシソを栽培している。これらが、ハダニの被害にあいまくっているが、トウガラシにはハダニはまったくつかない。カプサイシンのおかげで虫を寄せ付けないのだろうか?トウガラシを初めて育ててみたが、病害虫に強くとても育てやすい。
その後、次々とトウガラシは赤くなっていきました。
102日目 (10/5) トウガラシの葉のお浸し
トウガラシの葉は食べられるらしので、1、2分茹でてお浸しにしてみました。 歯ごたえは柔らかく、味にクセがなくて美味しかったです。モロヘイヤに似ていると感じました。
トウガラシの葉をお浸しにしてみたらメチャ旨!
— めっしゅ (@mopipico) October 5, 2021
歯ごたえも味もモロヘイヤっぽい
病害虫にもやられないし、最強だな! pic.twitter.com/hkyM00U9Ae
トウガラシの雑学
トウガラシの来歴
トウガラシはどのようにして日本へ伝わったのだろうか?トウガラシは「唐辛子」と書くように、唐(中国)から伝わったとばかり思っていたがそうではないらしい。唐とは漠然と外国の意味のようだ。 実際には、1492年にコロンブスが第一回航海の際にトウガラシを西インド諸島で発見した。1493年にスペインへ持ち帰ったことにより、ヨーロッパ全域に広がったそうだ。 そこから日本へ来たのは諸説あるようだが、1592年の豊臣秀吉による朝鮮出兵のときに種子が導入されたという説や、1542年にポルトガル人によってタバコとともにトウガラシが伝来したという説がある。どちらにせよ、おおむね安土桃山時代から、遅くとも江戸時代初期あたりには日本で唐辛子が栽培されていたようである。 ペペロンチーノや麻婆豆腐、キムチなど、唐辛子を料理使う料理は数え切れないが、実はまだ500年ほどの歴史しかないと思うと考え深いものがある。
とうがらしの品種
江戸時代に栽培されていた唐辛子は80品種もあった。また江戸時代には、栃木県日光市とともに、意外にもあの新宿も唐辛子の産地だったようだ。元禄の頃、高遠藩主、内藤家の屋敷の一部を取り壊して開かれた宿場町が「内藤新宿」である。内藤新宿は現在の一丁目、二丁目、三丁目の一帯にあった。「内藤とうがらし」と呼ばれたりしたそうだが、作られていた品種は「八つ房」というもの。
江戸時代でも80品種、現代でも数え切れないほど唐辛子の品種はある。次はとうがらしの名前だが、だれもが一度は聞いたことがあるのではないだろうか。 鷹の爪、カイエンペッパー、プリッキーヌ、ハラペーニョ、島とうがらし、ブート・ジョロキア(世界一辛い)、万願寺とうがらし、セラーノ、ハバネロ、獅子唐、韓国とうがらし、ピーマン、カラーピーマン、パプリカ、伏見とうがらし。
このように唐辛子と言っても辛いものだけでなく、辛味がないものや、甘み、香り、大きさなど品種によってだいぶ違う。
とうがらしのダイエット効果!?
とうがらしの辛さ成分といえば「カプサイシン」というのはご存知だろう。カプサイシンと似た構造の成分をまとめてカプサシノイドと呼ばれるが、辛味成分はカプサイシン以外にも「ジヒドロカプサイシン」などが存在する。「ジヒドロカプサイシン」のほうが辛味がいつまでも口に残り、「カプサイシン」の辛味は後を引かないそうだ。ちなみに、とうがらしは赤く熟す前の青いほうが普通辛い。
ところで、カプサイシンにもダイエット効果があるらしい。 カプサイシンは交感神経を刺激して、腎臓の隣の副腎からアドレナリンを分泌させる働きがある。アドレナリンはご存知の「戦うか、逃げるか」ホルモンである。アドレナリンが分泌されると、すぐに身体を動かせるように、エネルギー源を血中に供給しておく働きをする。具体的には、身体を緊急事態に備えるために、肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解して血糖値を上昇させるとともに、脂肪組織で脂肪を分解して血中遊離脂肪値を上昇させる。 他にも、カプサイシンにより刺激された交感神経が、褐色脂肪組織という体内器官に作用して体脂肪を燃焼させる。 そういうわけで、とうがらしにダイエット効果があると言われる理由である。
夏にも冬にもとうがらし
ご存知の通り、とうがらしを食べると汗をかく。カプサイシンには発汗作用があるためだ。発汗作用と同時に、カラダを温める作用もある。 そこで、とうがらしを夏に食べれば一旦は暑くなるものの、汗による気化熱でカラダが涼しくなる。また、冬に食べればカラダを温める効果がある。ただし、汗をかいてしまうと先ほどの理由でカラダが冷えてしまうので注意が必要だ。
カプサイシンには他にも、胃や腸を刺激して食欲を増進させる働きがある。また、とうがらしにはビタミンCやカロチンが豊富で、風邪の予防や免疫力活性化につながる。ただし、栄養があるからといって食べ過ぎは逆効果になるのでなので注意しよう。