料理が楽になり、もっと好きになる!おすすめの料理本2冊
はじめに
この記事では料理することが楽になり、食材などをはじめもっと料理が好きになるおすすめの本を紹介します。実際に私自身がこれらの本にとても影響を受け、日々の料理に活かしてますのでかなり実践的で役に立つ内容が詰まってます。いわゆる「レシピ本」とは異なる書籍ですが、読んでいると知らないことばかりで勉強になり、料理に関する知識が増えてますます料理することが楽しくなりました。季節を感じて食材とどう向き合うかという、料理以前に生き方を勉強させられます。決して説教くさい内容ではないので、すんなり話を聞き入ってしまいます。食材を大切にする姿勢、これからの未来の食糧難だったり、SDGsな部分にも繋がるような感じです。
一汁一菜でよいという提案
まず私がおすすめする料理の本は、土井善晴さんが書かれた「一汁一菜でよいという提案」です。この本は私にとって、味噌汁の概念を完全に180度ひっくり返された本です。というのは普通、味噌汁を真面目に作ろうとすると出汁をとって具を入れて煮て、味噌は沸騰させない温度で火加減を調整して溶かすという工程で作らなければならないと思ってました。しかしこの本では、そうはしなくて良いと言います。
冷蔵庫にある具を何でも入れましょう。野菜がたくさん入ればそこから野菜の旨み、つまり出汁がでるのでわざわざ昆布や煮干しなどの出汁を別に用意する必要はなくなります。また、味噌を沸騰させないというのは、そもそも日本料理屋などで出されるような繊細な出汁の風味を活かした時の話であって、この場合であれば味噌も一緒に入れて煮込んで良いのだと言います。そうか、これは豚汁の作り方を同じじゃないかと思いました。そこから味噌汁を難しく考えることなく、その日によって余っている野菜をたくさん入れるようになりました。驚くほど調理が簡単になりますし、余った野菜の行き場を考え悩むこともなくなりました。何より、味噌汁一杯でたくさんの栄養を摂ることができるわけですから。
そう、一汁一菜というのは何も質素な生活をみんなでやりましょうという提案ではなく、具沢山な味噌汁を作りさえすれば、あとはご飯とそれに漬物などの一菜を添えれば栄養は十分でしょという提案だったのです。一汁一菜は私にとってはとても合理的な考え方で、調理にも時間がかからず、食材を余すことなく使い切ることができる魔法のようなレシピでした。この考え方と出会ってからは、毎日の自炊料理で取り入れています。本当に料理が楽になりました。また、必ず一汁一菜でなくてはダメというわけではありません。あくまでも一汁一菜をベースにすれば、日によって食べたいものを数品それに付け加えることもできます。一汁一菜によって料理の自由度が増えたのです。
土を喰う日々: わが精進十二ヵ月
次におすすめする料理本は水上勉さんの「土を喰う日々: わが精進十二ヵ月」です。この方はあるお寺の修行僧を経験された著者が、そこで覚えた体験した料理をベースに、季節によって食材を楽しみいつくしみ語られる内容です。精進料理というと何かストイックで素人には手を出せない料理と思いますが、そんなことはなく、食材を徹底的に無駄にしないという姿勢だと思いました。無駄にしないというのは物理的に捨てないというだけでなく、食材を活かしきる、つまりより美味しく食べれるように手を惜しまずに工夫するということです。それこそが「精進」ではないかと著者は語られます。
著者は軽井沢で暮らし、夏に畑で育てた野菜を食べ、冬は貯蔵庫で保管していた野菜を探し、限られた食材の中で経験と知恵と共に料理を工夫します。
余談ですが、家庭菜園をするようになってから不思議に思うのですが、土から植物がほとんど自動的に育ち、それが実を結んで私たちが食べられる野菜や果物になるという。当たり前のことですが、最近は不思議で凄いことだなと思うようになりました。土と言うのは、理系脳で考えると変換器(関数)だと思うのです。つまりXというタネを関数の土に入れたら、Yという実が収穫できる。土という関数は誰が作ったものでもなくもともと地球上に存在していて、そんな便利な土が日本中たくさんあるはずなのに、アスファルトだらけなのは勿体無いことではないでしょうか。
そんな土のこと考えていた私ですから、「土を喰う」というタイトルを見て惹かれないわけありません。この本は自分に馴染むだろうなと予想していた通り、先ほどの数学的な理屈っぽい話はもちろんありませんが、料理のことだけでなく文才に長けていて読んでいるとまるで小説のようです。
著者の野菜の皮を剥き過ぎることを嫌う考え方も、まさに「土を喰う」だと思います。土で育つ芋や根菜なんかは、土と野菜の境界線が皮です。その部分に甘みがたくさん含まれていますから、皮を向くことはもったいないのです。私も本に習って、里芋の泥をタワシで出来るだけ落としたあとは皮を剥かず、そのまま直火で網焼きしてみました。芋をころころと転がしながら20、30分ぐらい経ったでしょうか、焼きいものようにまわりの皮が黒くなり、芋の中は柔らかくなったようなので塩のみで食べてみました。なんと、これが絶品でした。里芋の中はふっかふかで柔らかく、皮の部分は香ばしくて甘みが感じられ、同時に土の香りもしてこれが嫌じゃないんですね。里芋の煮物を作る時も私は以前から皮を剥きすぎないようにしてましたが、皮を丸ごと食べてみて確信が持てました。
さて、そういった昔は常識だったことが現代では非常識になってしまっている価値観を、良い意味で覆してくれるお話が満載の本です。